FUNDINGFACTBOOK表紙_レポハピ

FUNDING FACTBOOK「株式会社レポハピ」

「FUNDING FACTBOOK」では、資金調達ニュースの対象となった非上場企業の調達情報を、登記簿謄本を確認し、その調達内容を詳細にスキームまで解説する。

この記事では、2019年1月22日に資金調達を発表した「株式会社レポハピ」の資金調達内容について取り扱う。

1. 株式会社レポハピについて

株式会社レポハピは2016年4月19日に設立された会社で、サービス登録したユーザーに対して人気店から招待状がとどくサービス「レポハピ」や、特定商業エリア(現在は、梅田エリア)に限定した記事投稿サイト「Alcocca(アルコッカ)」を開発・運営している。

■ サービスの特徴
代表取締役である原武嗣氏の名義で「フィードバック型SNSユーザ情報発信力スコアリングサーバ」の国際特許を取得しており、レポハピが展開する各種サービスは当該特許に関連する内容となっている。

当該技術は、特定の商業エリアに関して個人ユーザーがどれだけのSNS上の影響力を持つかを測定するものだ。当該測定結果に基づき識別された特定の個人に対して、招待状やクーポンを配布して集客することで、これらのサービスに登録した飲食店はSNS上に影響力を持つ顧客を自分の店に招くことが可能となっている。
対して、個人ユーザー側は、サービスに登録することにより、無料で各店舗に関する優遇権を得ることができる。

「レポハピ」は、上記特徴を活かした『飲食店やtoC向けサービスを営む店から(影響量ある)ユーザーに招待状が届く』ことを目的としたサービスである。
「Alcocca」は、①特定の地域に限定したことに加え、②ユーザーが施設のレポートや写真を投稿しやすい設計となっており、地域限定SNSの側面を持ったサービス内容になっている。

■ チーム並びに機関の特徴
創業者代表取締役の原氏1名のみが取締役として登記されている。Wantedly上のメンバーページには、財務担当者として紹介されている人はいなかった。

2.プレスリリースについて

概要
 プレスリリース日 2019年1月22日 14時20分
 その他媒体    THE BRIDGE
 発表調達内容
  金額 1.3億円
  方法 第三者割当増資
  投資家 デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社,
      ハックベンチャーズ株式会社, りそなキャピタル株式会社,
      三井住友海上キャピタル株式会社,
      三菱UFJキャピタル株式会社
 実際調達内容
  資金調達日 2018/10/26,10/31,12/21
  合計金額  130,200,000 円
 PRのタイミング 登記完了後
 登記完了後からPRの日数 25日

プレスリリースの解説

FUNDINGFACTBOOKNo.3_レポハピ

プレスリリースにより発表された資金調達(発表額1.3億円)は、2018年10月26日から同年12月21日まで3回にわけて計1億3020万円を調達する形で行われている。

2018年内に調達に関する登記は完了しており、登記申請から25日経過した後にプレスリリースが行われている。
プレスリリース内容は、①事業内容②資金調達の背景(新サービスの開発、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社との資本提携)を伝えるものとなっている。

プレスリリース内での事業内容の紹介仕方を確認すると、レポハピが展開している事業の具体的な説明は行っていない。それに変わって、各事業の根幹を担っている「フィードバック型SNSユーザ情報発信力スコアリングサーバ(プレスリリース内では「SNSレイティングデータベース」)」の紹介を行っている。

3.ラウンド前後の会社の取り組み

FUNDINGFACTBOOKNo.3_レポハピ_Round

■ 事業の特徴
資金調達の前後にそれぞれ新規事業を開始している。2018年9月には、コーヒーをテーマにしたファンサイト事業「アカチチ」をローンチし、コーヒーショップを限定として、サービスに登録したオーナーが登録したユーザーに対して情報発信を行える場を提供している。
また、資金調達後の2019年3月には、特定商業エリアに特化した記事投稿サイト「Alcocca(アルコッカ)」をローンチしている。

いずれのサイトも、何かトピックを限定している(「アカチチ」はコーヒーショップに限定し、「Alcocca」は特定地域に限定している)ことに加えて、レポハピの特徴であるユーザーに対するイベント招待機能を実装させている。
レポハピの根幹機能を利用して、レポハピに続く事業を立ち上げようとしていることが伺える。

■ PRの特徴
2019年7月6日には、『レポハピ』のテレビCM(以下)を関西エリアにて放映開始したことをプレスリリースにて発表している。

『レポハピ』や『Alcocca』は関西エリアを中心として展開されており、全国へのサービスの拡大を試みている。しかしながら、プレスリリースで公表された登録店舗数は2019年7月時点で1000店舗にとどまり、大阪市の飲食店の規模(約2万7000店舗、2014年の情報)と比較してもまだ拡大余地がある。
当該CMは、(全国エリアではなく)まずは関西エリアにて掲載店舗数を増加させることを目標としたものとなっている。

3. 資金調達について

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株式会社レポハピは2016年から2018年3月まで6回にわけて1000万円〜3000万円の少額調達を繰り返し行っていた。調達プレスリリースの対象となった資金調達は、同社にとって初の大型調達となる。

■ これまでの資金調達
2016年5月20日に「A種優先株式(便宜上「2016年版A種優先株式」と呼ぶ)」という種類株を用いて調達を行っている。

当該株式は発行から3年以内ならば×1.5倍、それ以降ならば×3.0倍で、会社がいつでも買い戻すことができる権利(取得条項)が付与されている。当該2016年版A種優先株式の株主も、発行から3年経過後ならばいつでも×1.5倍で買い戻すことを会社に求めることができる設計となっている。
また当該2016年版A種優先株式の株主には議決権がなく(無議決権株式)、買い戻しされることが概ね確定していることを鑑みると、2016年版A種優先株式は負債的な性質を有しているといえるだろう。

この性質に従って、上記表におけるValuation(PreValue、PostValue)は、当該2016年版A種優先株の分調整して算定している。

なお、2016年版A種優先株式は2018年3月(=発行から3年経過する直前)に、会社によって取得され同年6月に消却されている。

■ プレスリリース対象の調達について

調達手法
 調達方法  第三者割当増資
 種類株式  A種優先株式
 調達時期  2018/10/26,10/31,12/21
 調達金額     130,200,000 円
 Pre-Money Valuation 878,700,000 円
 発行株式数 868株(調達後の発行済株式総数の12.91%)
 累積調達額  230,200,000 円

プレスリリース対象となった調達について、「A種優先株式(便宜上「2018年版A種優先株式」と呼ぶ)」という名前の株式を新たに発行している。従って、前述の2016年版A種優先株式(2016年5月に発行し2018年に消却されたもの)と全く同じ名前で異なる内容の株式を発行したことになる。

本調達はPre-Money Valuation 8億7870万円で1億3020万円を調達するもので、2018年3月に行った前回ラウンド(約1000万円を調達し、その結果、post-Money Valuationは2.8億円となっている)から、Valuationを3倍超に上げて調達を行った計算になる。

2018年版A種優先株式の設計

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2018年版A種優先株式の設計を確認する。特殊な設計をされていた2016年版A種優先株式と比較すると、2018年版A種優先株式の設計は外部投資家からの調達で良く使われている設計となっている。
優先残余財産分配権については、広く多くの会社で使われている×1.0倍の参加型が設定されている。議決権はあり、特定のイベントに関する拒否権が設定されている。
ラチェット条項(希薄化防止条件)は調整方法は具体的に定まっておらず、イベント発生時にあわせてその場で考える形になっている。

今回の調達は、事業会社(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社)、独立系VC(ハックベンチャーズ株式会社)、金融系VC(りそなキャピタル株式会社,三井住友海上キャピタル株式会社,三菱UFJキャピタル株式会社)と複数タイプの投資家がおり、いずれのタイプの投資家にも受け入れられやすい標準的な設計となっている。

まとめ

以下所感を記載する。

2016年版A種優先株式について
・2016年版A種優先株式とは、出資額の1.5倍-3.0倍で買い戻しを行うことが前提となった設計であり、メザニンの一種と呼べるもの。
・この設計は、創業者が金銭的余裕がある場合に適しているだろう。
例えば、連続起業を行う創業者が短期的に収益化可能なサービスを提供する新会社設立時にこのような株を設計しておくことが選択肢としてあるだろう。外部投資家を入れる前のサービス立ち上げ時期に会社に豊富な資金は入れられ、サービスが立ち上がった後は当該資金は回収して個人利用ができる。
・買い戻しは新規投資家に不利な条件なため、買い戻しを行う前に外部投資家を見つけることは難しい。
2018年版A種優先株式を用いた今回の調達について
・種類株について、外部株主から調達する上で用いられるプレーンな設計。同社にとって(恐らく外部公表情報を見る限りは)初めての外部法人株主からの出資。そのためか、2016年版A種優先株式と比べて、独自性は薄れている。
・調達使途は根幹技術を援用した新サービスとテレビCMに使われており、サービスの拡大を試みるもの。今後、関西(大阪)エリアでの浸透を測るか他のエリアに広げるかが個人的に気になる。

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