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経営管理に使えるSaaSを解説しよう「paild(ペイルド)」

このnoteでは、主に経営管理体制をこれから整備しようとするスタートアップに向けて、経営管理領域で使えるSaaSを紹介する。スタートアップの経営管理体制構築を行っている立場で、SaaSの解説を行う。

このnoteでは、2020年8月24日にローンチされた「paild(ペイルド)」について解説を行う。

1. 経営管理の定義

まず、解説の前提となる「経営管理」の定義について述べる。

一般的には、「経営管理」は、具体的な組織内の機能名を用いて「経理・財務・労務・法務・総務など、いわゆるバックオフィス部署の仕事」として説明されることもある。この定義は正しく、経営管理体制構築を行う時には、確かにバックオフィス部署の業務デザインを中心に行う。

しかし、組織が未成熟であり組織全体の体制構築が必要となる段階のスタートアップ企業において、「経営管理」を事業活動と切放した活動として扱えるように定義して、その部分最適化を行うことは非合理だ。組織の全体最適を行うフェーズの企業では、全体最適の目線を持ちながらバックオフィス部署を設計すべきだろう。

従って、筆者がスタートアップ企業の経営管理体制構築をする際には、「経営管理」の定義について「過去または現在の組織内・外の情報を変換・分類・保存すること」と抽象度を上げた定義を用いている。

この視点から「経理」を捉えると、組織外の情報(例えば請求書)や組織内の情報(例えば労務データ)を会計情報に「変換して、会計ソフトに「保存」する活動と捉えることができる。この経営管理の定義に基づけば、例えば、事業側のKPIの測定と月次の確認資料への落とし込みといった、組織目標に紐付いた数値の整理も経営管理の仕事領域になる。

2.「paild(ペイルド)」とは何か

paildは、即時発行可能な法人カード発行サービスだ。正確に述べると、プリペイド式で決済可能な法人カード番号を即時に生成することができる(物理的なカードは発行に数日かかる)サービスとなる。

ユーザーはpaildに対して決済用の資金を前もって預け(預け先を「paildウォレット」と呼ぶ)、paildを通して発行された法人カード番号を用いることで、サービスを利用する企業はその資金の範囲内で決済することができる(サービスイメージは下図)。

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paildを用いる企業では、企業内の人全員に対してpaildのアカウントを発行する。paildの個人ごとのアカウントに対して「カード番号の閲覧権」「決済上限金額」を個別設定する。カード番号の閲覧権を付与された個人は、そのカード番号を用いて決済上限金額の範囲内で自由に決済することができる。

この特徴を用いてpaildは公式的には『「立替経費」の場面で活用できる』と説明されている。経営管理体制構築を担うものの視点からみると、この活用シーン(立替経費)は極めて限定的であり、サービスの魅力は別の所にある。経営管理の定義の視点から、何がpaildの魅力なのか解説する。

3.経営管理の何を解決するのか

(1)paildが関係する経営管理活動
経営管理について「過去または現在の組織内・外の情報を変換・分類・保存すること」と定義した。paildは「決済」に関するサービスである。決済に関する経営管理の活動とは、どのようなことを行っているのだろうか。

無題のプレゼンテーション

「決済」後生じる経営管理活動の1つが、決済対象となる①取引情報の分類②その分類ごとの情報の保存だ。

例えば、Webサービスを運営している会社がサービスに用いるサーバー代を決済した場合、その決済取引は「サービス運営に伴うコスト」と区分される。

この取引情報は、区分に従い保存場所に保存される。ここでいう「保存場所」とは、会計ソフト内の勘定科目・補助科目や部門を指している(クラウド会計ソフトのfreeeを前提とすると、「取引先タグ」「品目タグ」も含まれる)。

(2)決済手段が1つしか無い場合の経営管理プロセス
決済手段が1つ(もしくは少数)に限定されている企業における、具体的な経営管理プロセスに言及する。この場合どのような種類の取引であっても、まとめて1つの決済手段により決済される(下図①)。決済された取引情報は「取引明細」という形で、集約される。集約された取引明細をみて、経営管理担当者が、情報の分類を行う(下図②)。ここで行われた分類に基づき、定義された情報保存場所に保存を行う(下図③)。

無題のプレゼンテーション (1)

このプロセスにおいて、企業内で、同一の取引分類を2回繰り返しで行っていることが多い。企業が、その取引の決済に至るまでに意思決定を行っており(たとえば購買申請)、その際に決済対象となる取引の区分は本来完了している(上図(A))。しかしながら、決済手段が限定されていることで、分類済の情報を集約して、再度分類を行っている(同(B))ことになっている。

特に経営管理担当者の分類(同②)は、決済前の意思決定プロセスのログを参考に行うこともあり、その場合付加価値ある作業といえない。情報の分類プロセスが純粋に2重で行われる無駄が生じているといえる。

(3)paildが解決した2重分類問題
paildは、決済手段である法人クレジットカード番号を即時発行できるサービスだ。

このサービスを用いると、決済前の取引分類に即した決済手段を即時に用意することができる(下図①)。取引分類ごとに決済手段(paildカード)を分けることで、paild内においてその取引に対する分類ログ(=どのpaildカードを利用したか)が取引情報をあわせて保存される。

この分類ログを用いて、会計ソフト上への情報保存を行うことで、取引分類を重複して行う無駄を削減することができる点が、paildがもたらす最大の効用であるように見える。

無題のプレゼンテーション (2)

「リアルタイムで意思決定を行い分類する作業」「過去決めた意思決定を参照して分類する作業」を比較すると後者の作業効率は相当程度に低い。参照が誤れば、情報の精度も低下する。paildを用いることで「分類→再集計→再分類」プロセスを省くことでき、その結果、組織全体の情報加工プロセスのコストを低下させることができる。この点が、paildの最も魅力的な点である。

なお、他の決済手段(クレジットカード)も複数枚発行可能なものもあり、内容ごとに決済手段を変更するアプローチは取れる。即時決済手段を作れることで、このアプローチを実現するコストが相当下がったことが魅力と言い換えることができるだろう。

参考:
「paild」サービスサイト:https://www.paild.io/ 

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