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資本政策の感想戦「株式会社識学」

====2019/7/8 17:00追記====
第三弾書きました。

====      2019/11/13 追記   ====
freeeの記事が書き上がるまで1000円値下げします
====          追記以上           ====

非上場企業の資金調達について、企業によるプレスリリースや登記簿謄本の内容により概要は伺いしれるものの、株主状況や財務状況を踏まえた仔細を第三者が確認する術はない。

対して、その企業が新規株式公開(IPO)を行った場合、その企業が作成した「新規上場申請のための有価証券報告書(以下「Ⅰの部」という)」を見ればどの株主が何株持っていたか確認することができる。例えば、株式公開情報「株主の状況」の箇所を確認すれば大株主が保有している株数を見ることができ、「第三者割当等の概況」を見れば直前々期から行われた資本取引の内容がわかる。

このnoteは「資本政策の感想戦」と銘打ち、第三者の視点から、創業から資本取引を将棋のプロが行う感想戦のように1手1手振り返り、その背景で動いていた資本政策の意図を考察することで、資本政策に関する学びを得ることを目的として書いている。

取り上げる企業:株式会社識学

このnoteでは、2019年1月16日に承認された株式会社識学(証券コード7049)を題材として検証を行う。株式会社識学は創業第4期で上場承認された企業だが、のべ17回に亘る資本取引を行っている。全17回の資本取引の詳細をまとめ解説を行っている。

株式会社識学の資本取引を振り返ることにより、「創業当初の共同創業者間の持分割合はどうするべきだったか」を考えるいい機会になる。

会社が公表したⅠの部を情報源としており、各回の資本取引について推定を交えた考察は行うが、極力客観的事実の枠内から外れないように記述を心がけている。

第1期の資本政策共同創業者との持株割合について

□会社の状況 開業1年目は少人数運営の研修会社

業績:
売上は初年度から1億円超(119百万円)。ビジネスは、toBで各種研修(社長向け、幹部層向け)を行うシンプルなモデル。この第1期中に、受講費用80万円超の研修を57社に提供しており、時間単価が高い研修を少数の会社に行う、少人数で高収益を立てられるビジネスモデルを確立していることが伺える。
税引後当期純利益は1,880千円。「法人税額を極力抑える」「黒字は確保する」決算となっており、少人数で運営する会社らしい損益計算書となっている。

人事:
設立時取締役として上場時も取締役を勤める梶山氏が参画している。
後ほど取締役に就任する池浦氏が入社している。
期末時点で従業員は4名。

資本政策の概要:
設立時の取引のみ(1回)。

資本取引(1回)の解説 設立時の状況確認

(1−1)2015/3/5 設立

画像1

取引概要:
手法 設立(普通株発行)
発行株数 10株
株価 500,000円/株
株主 安藤広大氏、福冨謙二氏

コメント:
代表取締役である安藤広大氏と、識学の理論創設者の福冨謙二氏の両名が50%ずつ出資して会社を設立。この時出資した株(500,000円/株)は、直近調達時株価で換算すると1株336,000,000円となっている。
「発行済株式総数10株」は、早期上場はおろか外部調達をすることも設立時点で想定していなかったことが伺える。
また、「共同創業者2名が50%ずつ出資」して設立されたことは特筆すべき事項だ。

理論を提唱した福冨氏とそれを旗振り役となって世に広めた安藤氏の、サービスに対する貢献度が両氏どちらが高いか客観的な判断は難しい。
しかし、株式会社識学が早期上場まで拡大する中、安藤氏は代表取締役として会社を牽引する立場で有り続けた一方、福冨氏は第3期中(2017年5月)に取締役を退任し従業員の立場になっている。
株式会社識学が第2期以降に行っている資本取引の多くは、この当初1:1であった両者の出資比率を是正するための取引となっている。

資本取引のまとめ

・共同創業者2名により、50%ずつ出資で設立。
 対して、設立時取締役1名は出資なし。
・発行済株式総数10株は、上場を一切意識しない設計。
 当初は上場を目指す意図は無かったものと考えられる。

第2期の資本政策:上場を意識した資本政策とは

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資本政策と資金調達に関するnoteを定期的に発信します 「資本政策の感想戦」「FUNDING FACTBOOK」を不定期掲載 中の人:https://twitter.com/8map 会社:https://nagabot.tokyo

コメント2件

全体的にまとまっていて、中身がすっと入ってきた。

資産管理会社と記載されているKDIは、株式会社識学設立前から登記されていることを踏まえると、当初は安藤氏が個人で識学を販売・提供していた時の会社(もしくは福富氏との合同会社)と思われる。その後、株式会社識学が拡大するにつれ資産管理会社化していった可能性はある。(併せて、識学の権利なども移している可能性も考えられる)

また、識学のセミナーで話されていた内容ではあるが、上場については創業当初から会社の信頼性を高めるため見据えていたとのこと。故、池浦氏を始め早期からバックオフィス専任の採用を進めており、創業2年目にはショートレビューを実施していたとのことである。

以上を踏まえると、(識学設立前から)売れる商材と感じていた安藤氏は、初めから持分を多くしたかったであろうことは想像される。さらに上場も見据えていたとするならば、設立時10株というのは、安藤氏よりはむしろ福富氏が少数の株で始めることを希望したのではと考えられる。
なお、有価証券報告書から読み取れないのは、識学(コンサルティングにおけるノウハウ等)の権利についてどう算出し、譲渡や対価を株等でどのタイミングで、どこまでの範囲を、どのように授受したか、という点である。

推測の枠を過ぎないが、福富氏が取締役を退任しながら25%以上の大株主(副社長かつ設立時取締役の梶山氏が2%に過ぎないにもかかわらず)であるのは、権利の意向が十分に完了していないのではないかと想像される。

ついては、今後は更なるサービス拡大や業績拡大にあたって、福富氏が大株主であることがリスクになってくる可能性があるため、識学のノウハウ等と共に福富氏の株を株式会社識学(もしくはKDI)が買い増していくのではと思われるがいかがだろうか。
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