FUNDING FACTBOOK 「株式会社22」

「FUNDING FACTBOOK」では、資金調達ニュースの対象となった非上場企業の調達情報を、登記簿謄本を確認し、その調達内容を詳細にスキームまで解説する。

この記事では、2019年1月22日に資金調達を発表した「株式会社22」の資金調達内容について取り扱う。

1.株式会社22について

株式会社22は、2018年11月2日に設立された会社で、海外のシェアハウスを自由に使えるサブスクリプションサービス「トークンハウス」を運営している。

ユーザーは月額5,000円(他に、15,000円・30,000円のプランもある)払うことで、毎月付与される独自トークン(TKC)を使って、海外のシェアハウス(2019年8月現在、カンボジア・インドネシアの2拠点)に滞在することができる。
現状ユーザーがサービスに加入するためには面談等が必須となっており、ユーザー数増加より、会員内のコミュニティの質を保つことを優先してる。

2.プレスリリースについて

概要
 プレスリリース日 2019年1月22日 08時00分
 その他媒体    なし
 発表調達内容
  金額 記載なし
  方法 記載なし
  投資家 箕輪厚介, 田口茂樹, 岸本浩一, 辻慶太郎, 小山裕
 実際調達内容
  資金調達日 2018/1/11
  合計金額  5,000,000円
 PRのタイミング 登記完了後
 登記完了後からPRの日数 5日

プレスリリースの解説

2019年1月11日に資金調達が完了。1月17日に登記申請、1月22日にプレスリリースを出している。創業から間もないスタートアップ(しかも、出資関係書類が順調にあつめにくい個人投資家相手のラウンド)としては、調達〜登記〜PRまで非常にスムーズに行えている。

プレスリリースの内容は、(1)サービス内容の説明(2)資金調達の背景(3)今後の展開を伝えるもの。資金調達をきっかけとして、サービスの認知度を上げることを目指した内容となっている。

3.ラウンド前後の会社の取り組み

事業の特徴
トークンハウス」は会社設立前の2018年の8月からサービスを開始しており、2018年10月からインターネット上でユーザーの事前予約を開始している。資金調達前後で目立ったサービス展開方法における差異はなく、サービス登録者数の上限を100人と設定して緩やかにメンバ数を増やしている。

2019年5月に、インドネシアのバリ島に2拠点目のシェアハウスをオープンしている

チームならびに機関の特徴
平尾健吾氏、植木大介氏の両名により創業されたと説明されており、登記上も両名のみが取締役(そして両名とも代表取締役)として登記されている。

3. 資金調達について AI系スタートアップの相場観

今回プレスリリースを出した資金調達は、株式会社22が創業から行った最初の資金調達となっている。
資金調達に先立ち、2018年12月19日に× 95倍の株式分割を行い、発行済株式総数を100株から9500株に増加させている。

仮に当該株式分割を行わず、発行済株式総数100株のまま5人の個人投資家から調達を行ったことを考えると、今回の株式分割の意味がわかる
発行済株式総数100株のままの状況だと、5人に対して1株ずつ発行すると 5株 / (100株+5株)=4.7%外部に発行2株ずつ発行すると10株 / (100株+10株) = 9.09%外部に発行する形になり、何%外部に発行するかの選択肢が極めて狭い。

株式分割を行う場合、株式分割を行う基準日を定めその旨公告しなければならないとされているが(会社法183条2項1号、同124条3項)、公告をすると定められているfreee会社設立上の公告ページには株式分割をする旨の公告がなかった。従って官報等別の方法で公告しているか、公告それ自体を省略した可能性がある。

調達手法
 調達方法  第三者割当増資
 発行株式種類 普通株式
 調達時期  2019/1/11
 調達金額     5,000,000 円
 発行株式数 500株(発行後株式総数の5%)
 Pre-Money Valuation 95,000,000円
 累積調達額  5,000,000 円

■ 調達内容について
シンプルな、普通株式を発行することによる調達。

今回5名の投資家(箕輪厚介氏, 田口茂樹氏, 岸本浩一氏, 辻慶太郎氏, 小山裕氏)の名前が明かされており、500株発行していることから、単純に考えれば、全員に普通株を100株・100万円ずつ株式を発行している可能性が高い。

プレスリリース上「上場や売却などは一切視野に入れていません」と明言しており、Exitの目標を投資家に説明せずに出資を受けた形になる。他企業が同様のことを目指す場合のValuationの目安となるだろう。

まとめ

以下所感を記載する

・調達内容それ自体は、普通株式による平易な内容。
・登記実務が円滑に行われている点は高評価。
・株式分割は公告が必要な少々手間な手続であるため設立時に発行済株式総数を9500株で設定できていれば良かった。
創業までの準間が長かったことを考えると調達の概要が決まってから、設立登記してもよかったかもしれない。
・多少細かい論点なので解説を割愛したが、共同創業者の持株比率によっては、今回の出資がエンジェル税制の対象となった。
 具体的には、片方の共同創業者の株が1,167株以上3,000株未満だった場合本取引はエンジェル税制の対象となった。仔細はエンジェル税制の要件参照。

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